logo


エンデュランス


2010年4月 トレーニングライド40㌔ 参加レポート 上巻

たまに、お客様から聞かれるのですが。
一番単純かつ奥が深い質問は、“エンデュランスってどんなことするんですか?”
もう少し具体的な質問になると、“エンデュランスって、どんなところを走るんですか?”とか
“走行中は、どんなことを考えているんですか?”
といったような質問を受けます。

2010年4月24日小淵沢のカナディアンキャンプさんを発着点に開催されたトレーニングライド40㌔に、ももちゃんと参加してきました。
最近はモサやはちとオープン競技に出ているので、競技中は自分たちのことでイッパイイッパイなのが現実で、
なかなか競技のレポートをするまでの余力が、自分にはありません。
そこで、いい機会なので、先述した質問に対するお答えに多少はなるかもしれませんし、
これからエンデュランスをやってみたいと思う方の参考に、ひょっとしてなるかもしれませんし、
現在、トレーニングライドに取り組んでいる方の一助となるかもしれませんので、

自分の場合はこんな感じです、という、競技への取り組みの一部を皆様にご紹介いたします。
念のためですが、こうしたほうがいい、とか、こうしなさい、とか、これを目指せ、とかいうことではありません。
あくまで単なる一例とご認識ください。

また、競技中、コースの写真を撮ってきましたので、折々でご紹介いたします。

なお、コースの景観については割愛させていただきます。
自分にとっては見慣れた明野の景色とあまり変わりませんので、
お伝えしようとすると、一般的には感動的な絶景をうまく描写できないと思われるからです。



【ももちゃんのプロフィール】


アングロアラブ種(アラブ血量64%) 牝 栗毛



【目的】

ももちゃんの訓地と、競技会時のももちゃんの感じを、自分自身が乗って感じることが目的です。
“40㌔の為の40㌔”ではなく、“60㌔オープン競技のための40㌔トレーニングライド”が前提です。



【騎乗方針】

当日は、前日までの雨の影響で悪路が予想され、
気象条件は気温10~12度程度、湿度45%前後、晴れ/曇りが予想されました。
足下には充分注意を払いつつ、気象条件は良好なので、
スタスタとテンポよく乗ることを心がけることと、
速歩と常歩をメリハリ付けて使い分けることとしました。

他馬からの影響を極力最小限にして、ももちゃんの生の感覚をつかむために
他馬達には極力近づけない・別行動をしている方針としました。
そのため、馬装~の時刻を10分づつ繰り下げる計画としました。

ちなみにこのコースは、1レグ・20㌔は2レグ20㌔より高低差が大きく、
難易度・馬の負担は1レグのほうが高いです。



【目標】

想定された諸条件とももちゃんの能力から、目標タイムを3時間40分に設定しました。
内訳は、スタート時刻を遅らせることによる加算10分
1レグ・20㌔の単純走行時間1時間50分(50分/10㌔+給水10分)
獣医検査までの所要時間10分 合計で1レグ走行時間2時間10分
2レグ・20㌔の走行時間1時間30分(40分/10㌔+給水10分)です。

 

 

【競技レポート】


1レグスタートまで

馬運前にSUNNYで調馬索運動を20分程度しました。
ももちゃんはスタート地点の待機場でも比較的落ち着いていて
乾草をポチポチ食べさせながら待機させ、獣医検査も問題なく終わり、
スタート時刻の10分前から馬装し始め、他馬がスタートしてから乗り始めました。
簡単な柔軟運動を中心に小さめのサークル運動で準備運動しました。
ももちゃんは落ち着いて輪線運動ができていたので、予定より早く5分後にスタートしました。

1レグ・20㌔
往路


スタート後~舗装路~棒道まで、合計7分程度歩かせました。
いつものトレーニングでスタート後に歩かせるのと同じ要領です。
ただ、漫然と歩かせるのではなく、歩く場所・スピードが乗り手の思惑通りかがポイントです。
ゴルフ場の人々や一般の方々に対して多少キョトリましたが、想定の範囲内でした。

舗装路は“信玄の棒道”に突き当たり、所謂“火の見やぐら”の地点を左折します。
棒道は、初めての方には一体どんな道かと思われるかもしれませんが、
決して、馬場のように走りやすい一本道ではありません。
通常は遊歩道で、一般の観光客の方もいます。
道幅は広いところで20㍍以上、狭いところは馬が二頭すれ違える程度です。
岩が顔を出してる場所もありますが、ほとんど草道です。
軽いアップダウンがあり、馬にとってはかかりやすいところでもあります。
スタートしてから間もない地点ですので、馬に走られないことが肝要かなと。↑棒道の雰囲気

棒道も少し歩かせ、トンネルの手前から速歩にしました。時速13㌔程度です。
実際の競技では速歩する時間帯が長くなりますが、その間漫然と乗らないようにするために、
自分の場合は、馬と僅かなコンタクトをとりつつ、馬の姿勢に気をつけています。
馬が伸び切ると、長い目で見て馬に負担がかかると思います。

棒道から外れ防火帯に出る崖を登ります。この坂は短いですが要注意です。    
ぬかるんでいることが多く、傾斜もきついです。下馬して歩かせました。
 ←これは復路時(下り)の映像です
崖を登ると所謂“下の防火帯”に出ます。
一般に言われている防火帯(“上の防火帯”)よりも傾斜は緩やかですが、
だらだらと続いていて、草地から岩が見え隠れしています。
エンデュランスの基本は左側通行ですが、ここは道幅が広いので、多少は選択の余地があります。
どこを通るか、よく考えたほうがよろしいかと。
馬の能力次第で、場所により歩かせる選択肢もありますが、今回は全て速歩で登りました。時速10㌔程度です。

“下の防火帯”を登りきると、右折してから観音平までこぶを上り下りします。
ここの谷は1箇所、ほぼ毎回ドロドロにぬかるんでいる難所があります。
前日までの雨で今回もひどく、進行方向左側は多少は通りやすいですが、中央付近は沼地化していました。
肢をねじる、落鉄する可能性や、バランスを崩して人馬転しないとも限りません。
ただ、今回は敢えて往復とも中央を行かせました。もちろん、ゆっくり一歩一歩の常歩でした。
とっても真剣に乗って、写真を撮る余裕もありませんでした。

観音平で車道を横断して、急坂を下ってから“上の防火帯”に繋がる、
アップダウンを繰り返した草道をいきます。    →
ここは、復路で要注意の場所で、馬に走られている光景をよく見かけます。
自馬はもとより、前後にいる他馬の動向を把握した方がよろしいかと。

左折すると、一般に言われている八ヶ岳コース最大の難所“防火帯”(上の防火帯)の坂があります。
 全長500メートル弱でしょうか。
馬の能力により、登り方をよく考えます。
今回は、下馬して引きました。
←下から見たところ    ←登り終わった所
スタートしてから防火帯を上りきるまでの所要時間は約35分でした。
まずまず計画通りの進行でした。(スタート時刻からは40分)


ももちゃんは、多少息があがって、うっすらと汗をかいている程度で、ほとんどダメージナシと判断し、
防火帯をあがりきってから3分ほど引いた後、速歩で林道を行きました。
気候条件もよく、この林道はあまりアップダウンがなく走りやすいので、時速15㌔程度にしました。

2㌔も行かずに、給水ポイントに到着です。
給水には5分程度費やしました。よく水を飲んでました。
ついでに、生えてきた青草も少々。

1キロほど行くと、先行して折り返してきた馬とすれ違い始めました。
この林道では、自分の習慣として、ポイントとなる馬とすれ違った場所・時刻をチェックしています。
折り返して戻るまでの時間で、その馬とのおおよその差を頭に入れています。
今回は、トレーニングライドなのでどうでもいいのですが、
先頭の馬との差は10分強でした。

また、この林道で気をつけるのは、すれ違いによる馬の変化や事故への備えです。
カーブで見通しが悪い場所もあります。
折り返して帰っていく馬に、ついていきたくなっちゃいますよ、馬は。
一気に馬が動きにくくなります。ももちゃんもだんだんエンスト気味になってきました。

“他馬からの影響を排して、乗り手にしっかり集中させる”普段の練習の成果の見せ所です。
が、何回目かのすれ違いで、エンストしました。すれ違った人馬にはご迷惑をおかけしました、申し訳なかったです。
引いて2,3分歩き、馬の気持ちが回復してから再出発です。
下馬してのんべんたらりと引いていては、ダメですよ、馬の精神的ダメージが広がります。

再び時速15㌔程度でスタスタ行き、
折り返し地点に到着し、チェック担当のカナキャン:岡田君に挨拶して復路へ。
スタートしてから55分程度でした。(スタート時刻からは60分)

1レグ・20㌔
復路

折り返してから時速15㌔程度でスタスタいくと、休憩中の人馬に出会い、自分の後ろについてきました。
ももちゃんに変化は特になかったです。
給水ポイント前に1分ほどを歩かせ、給水しながら5分ほど休憩。
途中からの道連れは先に出発、再度一人旅です。
ももちゃんは、多少、前の馬を追いかけていましたな。オーバーワークに注意です。

防火帯のくだりも引き馬しました。
先行している人馬が遠くに見えて、ももちゃん焦り気味。
下り切ってから観音平までの、アップダウンを繰り返す場所に
このままの状態で行くと走られてしまう気配大なので
防火帯を下り切ってからも100メートルほど引きました。
馬の状態を確認してから騎乗して速歩で。
それでも結構、グイグイやられてしまいました。

難所の泥地は、敢えて中央部をソロリソロリと渡り、“下の防火帯”を時速13㌔程度の速歩で下りました。

防火帯からはずれ、崖を引き馬で下りて、再び速歩、ゆっくり目で。ボチボチとクールダウンに移行。
少し行くと、休憩中の馬に混じって、よく見かけるカメラマンさんがいてご挨拶。
いつも他人を撮ってばかりで気の毒?に思い、自分が撮ってみました。


“火の見櫓”の給水ポイントにちょっと寄ってから、舗装路を引き馬で下っていきました。
この地点からゴールまで歩いて約5~7分です。
舗装路を左折して別荘地を抜けると、1レグのゴールです。
前を3・4頭の人馬が常歩していました。

1レグタイムは、
スタート時刻10時(実際のスタートは10時5分過ぎ)、ゴールは11時45分でした。
単純走行時間は1時間40分で目標より10分ほど早くなってしまい、
クルーのO氏からお小言を頂戴しました。
1レグゴール時のももちゃんの状態は、特にダメージはなく
体調はいいように思われました。

これからクールダウンして、獣医検査になります。

《上巻終わり》


下巻へ



▲ページトップへ